Gitを使っていると、「直前のコミットをやり直したい」「一つ前の状態に戻したい」と思うことがよくあります。例えば、間違ったファイルを追加してしまったり、コミットメッセージを修正したくなったりすることもあるでしょう。
そんなときに便利なのが、Gitの 「コミットを戻す」 機能です。しかし、戻し方にはいくつかの方法があり、状況に応じて使い分ける必要があります。
本記事では、 git reset や git revert などを使って、一つ前のコミットに戻す方法を詳しく解説します。それぞれの使い方や違いを理解し、適切な方法を選べるようになりましょう！
git reset を使う（ローカルの変更を巻き戻す場合）
git reset は、直前のコミットを取り消し、変更をステージ（インデックス）やワークツリーに残すかどうかを選べるコマンドです。ローカルリポジトリの履歴を書き換えるため、他の人と共有する前の作業に適しています。
git reset の３つのオプション
--soft--mixed--hard
–soft オプション（コミットだけを取り消す）
使いどころ
- 直前のコミットをやり直したいとき
- ファイルの変更はそのまま残したいとき
git reset --soft HEAD~1実行後
- 直前のコミットが取り消される
- ステージング（
git addした状態）は維持される
そのまま修正して再コミットする場合
git commit -m "修正後のコミットメッセージ"–mixed オプション（コミット + ステージを取り消す）
使いどころ
- コミットも
git addも取り消したい - でも、ファイルの変更内容はワークツリーに残したい
git reset --mixed HEAD~1実行後
- 直前のコミットが取り消される
- ステージングされていたファイルがアンステージ状態（
git statusでChanges not staged for commitになる）
再度コミットしたい場合
git add .
git commit -m "修正後のコミットメッセージ"–hard オプション（完全に元に戻す）
使いどころ
- 直前のコミットも、ファイルの変更も完全に削除したいとき
- 間違った変更をなかったことにしたい場合
git reset --hard HEAD~1実行後
- 直前のコミットが削除される
- ステージングされていた変更も消える
- ワークツリーのファイル変更もすべて消える（復元不可）
※--hard を実行する前に、重要な変更がないか確認しましょう！
事前に git status や git diff で変更内容を確認すると安全です。
git reset の注意点
git resetは ローカルでしか有効 なので、 すでにプッシュしたコミットには使わない こと！- プッシュ後に
resetすると、リモートと履歴がずれてトラブルのもとになります。- もし
reset --hardした後にプッシュしたい場合は、git push --forceが必要（※慎重に！）
- もし
git reset はローカル作業の修正に便利ですが、すでにプッシュしたコミットには revert を使う方が安全です。
次のセクションでは git revert の使い方を紹介します！
git revert を使う（pushしたコミットを修正する場合）
git revert は、過去のコミットを 打ち消す新しいコミットを作成する コマンドです。履歴を保持したまま変更を取り消せるため、 すでにプッシュしたコミットを修正したい場合に最適 です。
git revert の特徴
✅ 履歴を残したまま変更を取り消せる
✅ チーム開発でも安全に使用できる
✅ git reset のように履歴を改変しないので、リモートリポジトリとの不整合が起きない
git revert の基本的な使い方
直前のコミットを取り消すには、以下のコマンドを実行します。
git revert HEAD実行後
HEAD（直前のコミット）の内容を打ち消す新しいコミットが作成される- これにより、変更を元に戻しつつ、履歴はそのまま残る
そのままcommitさせる場合
エディタが開いたら、そのまま git commit で確定するか、-m オプションでメッセージを指定できます。
git revert HEAD -m "前のコミットを取り消しました"特定のコミットを取り消す
1つ前のコミットではなく、過去の特定のコミットを取り消す場合は、-m オプションをつけて、どの親ブランチを残すか指定する必要があります。例えば、git log で以下のようなマージコミットがあったとします。
b3c1d5f Merge branch 'feature-x'このマージコミットを取り消すには、以下のように実行します。
git revert -m 1 b3c1d5f-m 1は「親ブランチ（通常mainやmaster）を残す」ことを意味する-m 2にすると、マージされた側のブランチを基準にする
git revert の注意点
resetと違い、履歴が改変されないため、チーム開発でも安全に使える- すでにプッシュしたコミットの取り消しには
resetではなくrevertを使う べき revertは 新しいコミットを作る ので、完全に履歴をなかったことにしたい場合には適さない（その場合はgit reset）
git revert については、こちらでも解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
git checkout / git switch を使う（過去の状態に一時的に戻る）
git checkout や git switch を使うと、 過去のコミットの状態に一時的に戻る ことができます。
これは、過去の状態を確認したいときや、一時的にブランチを分けて作業したいときに便利です。
過去の状態を確認する（git checkout）
コミット履歴を確認し、過去のコミットIDを取得します。
git log --oneline例えば、以下のような履歴があった場合、
d1e3f45 最新のコミット
a2b7c89 修正: バグ修正
f5a3c9d 追加: 新機能
c8d9f21 初回コミット過去のコミット a2b7c89 に戻って一時的に内容を確認したい場合、以下のコマンドを実行します。
git checkout a2b7c89実行後
- リポジトリの状態が
a2b7c89のコミット時点に戻る - このままだと「detached HEAD」状態になる（ブランチがないため、新しいコミットは履歴に残らない）
このまま変更を加えてコミットすると履歴に影響を与えるので、 新しいブランチを作成するのが安全 です。
安全に過去の状態で作業する（git switch -c）
過去の状態を元に 新しいブランチを作成して作業する こともできます。
これにより、履歴を壊さずに過去のコミットを活用できます。
git switch -c old-state a2b7c89または、git checkout を使う場合、
git checkout -b old-state a2b7c89実行後
a2b7c89の状態を元にold-stateという新しいブランチが作成される- このブランチで作業すれば、元の履歴を壊さずに変更を加えられる
まとめ
Gitで「一つ前のコミットに戻したい」と思ったとき、状況によって適切な方法を選ぶことが重要です。
- ローカル作業をやり直したいなら
git reset - すでにプッシュしたコミットを取り消すなら
git revert - 過去の状態を一時的に確認したいなら
git checkoutやgit switch
間違ったコミットをしても、Gitの強力な履歴管理機能を活用すれば、安心して修正できます。
今回紹介した方法を活用し、快適なGitライフを送りましょう！
また、Gitには他にも便利なコマンドがたくさんあります。今後もさらにGitを活用したい方は、ぜひ公式ドキュメントや関連情報をチェックしてみてください！