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データベースを勉強していると、「テーブル」と「マスタ」という言葉をよく耳にしませんか?
一見するとどちらも同じ「データを入れるもの」に思えますが、実際には役割や使われ方に大きな違いがあります。
特に業務システムの開発や運用に携わると、「マスタを更新する」「テーブルを参照する」といった会話が頻繁に出てくるため、最初のうちに正しく理解しておくことがとても大切です。
この記事では、テーブルとマスタの基本的な意味や違いを、初心者でもイメージしやすい形で解説していきます。
さらに、データベース設計をしっかり学びたい方向けに、おすすめのプログラミングスクールや書籍も紹介しますので、学習のステップアップに役立てていただければと思います。
テーブルとは?
データベースにおける「テーブル」とは、行(レコード)と列(カラム)で構成されたデータの入れ物のことを指します。
エクセルの表をイメージするとわかりやすいですが、データベースのテーブルも「縦(列)」に項目名、「横(行)」にデータが並ぶ形で管理されています。
たとえば「社員」を管理する場合、次のようなテーブルが考えられます。
社員ID | 氏名 | 部署ID | 入社日 |
---|---|---|---|
001 | 佐藤太郎 | D01 | 2020-04-01 |
002 | 鈴木花子 | D02 | 2021-01-15 |
この表のように、テーブルは「複数のデータを規則的に格納するための基本単位」として扱われます。
つまり「テーブル」とは、データを整理して保存するための最も基本的な構造であり、すべてのデータベース設計の土台になるものなのです。
マスタとは?
「マスタ」とは、基準となる情報を一元管理するためのテーブルのことを指します。
業務システムでは、商品や顧客、部署など「共通して参照されるデータ」をマスタとしてまとめておくのが一般的です。
たとえば、商品に関するマスタは次のようになります。
商品コード | 商品名 | 単価 |
---|---|---|
P001 | ノートPC | 120,000 |
P002 | マウス | 2,500 |
P003 | モニター | 25,000 |
この「商品マスタ」は、売上データを登録するときに参照されます。
売上テーブルに「商品コード」が記録されていれば、そこから「商品名」や「単価」をマスタから取得できる仕組みです。
マスタには次のような特徴があります。
- 頻繁に変わらない(基準情報なので更新頻度は低い)
- システム全体で共通して参照される
- データの整合性を保つために、変更時には承認や管理が必要になることが多い
つまり「マスタ」は、システムの根幹を支える基準データの保管庫ともいえる存在です。
テーブルとマスタの違い
ここまでで「テーブル」と「マスタ」それぞれの意味を見てきました。
では、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか?
ポイントは 「範囲」と「役割」 の違いです。
範囲の違い

- テーブルは、データベースに格納されるあらゆるデータの入れ物を指す「広い概念」。
- マスタは、その中でも「基準・参照用のデータを扱うテーブル」を指す「狭い概念」。
つまり、マスタはテーブルの一種であり、「特別な仕組みを持ったテーブル」というよりは「役割によって呼び方が変わっている」と考えると理解しやすいです。
役割の違い

- テーブル:売上、注文、履歴など、業務で発生するデータをどんどん記録していく。
- マスタ:商品名や顧客情報など、業務全体で参照する基準を提供する。
イメージ図

- テーブル=「データを入れる箱の総称」
- マスタ=「その中で、共通の基準データを管理する箱」
具体例で理解する「テーブル」と「マスタ」
テーブルとマスタの違いを、実際のシステム例で確認してみましょう。
例1:販売システム
販売システムで主に使用されるマスタとテーブルをピックアップしてみましょう。
- 商品マスタ
- 商品コード、商品名、単価を管理する。
- 売上テーブル
- 取引日、顧客ID、商品コード、数量を記録する。
この場合、売上テーブルに「商品コード」だけが保存されていれば、商品マスタを参照することで「商品名」や「単価」を取得できます。
→ マスタがあることで、売上データに商品情報をすべて書き込む必要がなくなり、データの整合性も保たれます。
例2:社員管理システム
社員管理システムでよく使われるマスタとテーブルから見てみましょう。
- 部署マスタ
- 部署IDと部署名を管理する。
- 社員テーブル
- 社員ID、氏名、部署ID、入社日を管理する。
この場合、社員テーブルに「部署ID」が入っていれば、部署マスタを参照することで「総務部」「営業部」といった部署名を取得できます。
→ マスタを利用することで、部署名の表記ゆれや入力ミスを防ぐことができます。
よくある誤解
テーブルとマスタの違いについて学ぶと、よく次のような誤解が生まれがちです。
誤解1:「マスタは特別な仕組みを持ったテーブル」
実際には、マスタも通常のテーブルと同じ構造をしています。
特別なSQL文や専用のストレージが用意されているわけではなく、役割や位置づけによって「マスタ」と呼ばれているだけです。
誤解2:「マスタは一度作ったら変更できない」
確かにマスタは基準データなので頻繁には変わりませんが、商品価格の改定や組織変更などで更新が必要になる場合もあります。
ただし変更時には業務全体に影響が出るため、承認フローや履歴管理を設けて慎重に扱うのが一般的です。
誤解3:「マスタ=主要なテーブルのこと」
「マスタ」という言葉に特別感があるため、「システムの中心になるテーブル」をマスタだと思ってしまうケースがあります。
しかし実際は、主要かどうかではなく 「基準として参照されるデータかどうか」 がポイントです。
マスタはテーブルの一種
本記事では、「テーブル」と「マスタ」の違いについて解説しました。
- テーブルは、行と列でデータを整理して格納するための基本的な入れ物。
- マスタは、その中でも「基準・参照用のデータ」をまとめたテーブル。
- マスタはシステム全体で共通利用されるため、更新頻度は低く、運用時には特に慎重な管理が求められる。
- 売上や社員情報などの「業務データ」と、商品や部署といった「基準データ」を分けることで、システムの効率性とデータの整合性が保たれる。
結局のところ、マスタはテーブルの一種であり、役割によって呼び分けられているだけという点を理解しておけば混乱しません。
データベースの基本概念をしっかり押さえておくことは、システム設計や開発を進める上で大きな強みになります。
もっと深く学びたい方は、DB設計を基礎から学べる書籍を活用するのがおすすめです。
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