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LaravelでWebアプリケーション開発をしていると、Bladeテンプレート内で定義した値をJavaScript側で扱いたい、と思うことはありませんか?
たとえば、ログイン中のユーザー情報をJavaScriptで使って表示を切り替えたり、Ajaxリクエストのパラメータとして利用したり──などです。
しかし、BladeとJavaScriptでは言語の仕様や実行タイミングが異なるため、ただ単純にPHPの変数をJavaScript内に埋め込むだけではうまくいかないこともございます。特に、変数の型や文字列の扱い、HTMLのエスケープなどに関して、注意を払わなければ思わぬバグに繋がる可能性もあるのです。
本記事では、JavaScriptでLaravelのBlade変数の値を安全かつ的確に取得する方法について、順を追って丁寧に解説いたします。
LaravelのBladeとJavaScriptを連携させたい方の助けとなれば幸いです!
基本の考え方
LaravelのBladeテンプレートは、PHPで処理された変数をHTMLに埋め込むことができます。
例えば、次のようなコードをご覧ください。
<p>{{ $user->name }}</p>
これは、PHPの変数 $user->name
の値をHTML上にそのまま表示する書き方です。Laravelがこの記述をHTMLに変換して、ブラウザ上で見えるようにしてくれます。
ここまでは問題ありません──しかし、ここでこう思われた方もおられるのではないでしょうか?
「このBladeの変数をJavaScriptで直接使えたら楽なのに…!」
まさにその通り。ですが、Bladeの変数をJavaScript内でそのまま使おうとすると、ちょっとした落とし穴がございます。
なぜそのままでは使えないのか?
Bladeの変数はPHPのものであり、サーバーサイドで処理される存在です。
一方、JavaScriptはクライアントサイド、つまりブラウザ上で動く言語。
この二つは直接的にはつながっておらず、JavaScriptにBlade変数の値を渡すには「HTMLを介して橋渡し」する必要があるのです。
また、単に数値や文字列ならまだしも、配列やオブジェクトになると話はさらに複雑になります。
そのまま埋め込めば、構文エラーや文字化け、あるいはセキュリティリスクにさえなりかねません。
次のセクションから、具体的な実装方法をシンプルな例を用いて紹介していきます。
方法1:HTML属性を使って渡す(data-* 属性)
最も基本的で扱いやすい方法の一つが、HTMLのカスタム属性(data属性)を利用してBladeの値を渡す方法です。
これは、HTMLタグにdata-
で始まる属性を追加し、そこにBlade変数の値を埋め込むことで、JavaScriptから容易に取得できるようにするという手法です。
Bladeテンプレート側では、以下のように記述します。
<div id="user" data-user-id="{{ $user->id }}"></div>
このように記述することで、HTMLのdiv
要素にdata-user-id
という属性が追加され、Blade変数$user->id
の値がその中に埋め込まれます。
そして、JavaScript側では次のようにして値を取得できます。
const userId = document.getElementById('user').dataset.userId;
console.log(userId); // 例えば「42」など
dataset
プロパティを使えば、data-
属性に定義された値を簡単に取り出すことが可能です。
属性名はキャメルケース(例:data-user-id
→ dataset.userId
)でアクセスします。
この方法のメリットと注意点
メリット
- 実装が非常にシンプルで、初心者にもわかりやすい
- JavaScriptファイルが分離されていても問題なく使える
- 値を表示せずに埋め込むこともでき、UIの見た目に影響を与えにくい
注意点
- 数値や文字列などのプリミティブなデータ型に適している
- オブジェクトや配列を渡すには不向き
- データを埋め込むHTML要素が必要になるため、構造上の工夫が求められる
Blade変数をJavaScriptに渡す際の第一歩として、この方法はとても実用的です。
次のセクションでは、より柔軟な方法として、<script>
タグ内に直接変数を埋め込む手法をご紹介いたします。
<script>タグ内で直接埋め込む方法
次にご紹介するのは、Bladeの変数をJavaScriptの変数として直接スクリプト内に埋め込む方法です。
HTML要素を使わずにJavaScript内で変数を定義できるため、構造がすっきりするのが特徴です。
<script>
const userName = @json($user->name);
console.log(userName);
</script>
このように、LaravelのBlade構文である@json
ディレクティブを使うことで、PHPの値を正しいJavaScript形式で出力することができます。
ここで重要なのが、@json
を使うことの意味です。
Blade変数を単に{{ }}
で出力してしまうと、クォート(引用符)やエスケープ処理が不十分で、JavaScriptとして正しく解釈されない可能性があります。
たとえば、次のような書き方は避けるべきです
<script>
const userName = '{{ $user->name }}'; // 不正なエスケープや構文エラーの原因に
</script>
@json
は、json_encode
を内部的に使用し、JavaScriptに適したフォーマットで出力してくれるため、安全で確実です。
オブジェクトや配列も扱える
この方法の大きな利点の一つは、配列や連想配列(オブジェクト)もそのまま渡せることです。
<script>
const user = @json($user);
console.log(user.name);
</script>
Laravelで扱うEloquentモデルやAPIレスポンスのようなデータ構造を、JavaScriptでスムーズに扱いたい場合に非常に便利です。
この方法のメリットと注意点
- オブジェクトや配列をそのまま渡せる柔軟さ
- HTML構造に依存せず、直接JavaScript内で変数として扱える
注意点
- JavaScriptの記述場所に注意が必要(DOMが読み込まれる前に処理しないよう配慮が必要な場面も)
- 大量のデータを埋め込むと、HTMLサイズが膨らむ可能性がある
この方法は、少し高度ではありますが、正しく使えば非常に便利です。
Laravelの変数をJavaScriptで自在に扱えるようになれば、よりダイナミックでインタラクティブなフロントエンドが実現できるようになると思います。
次章では、外部JavaScriptファイルからLaravelの変数を参照する方法について解説いたします。
Blade内のスクリプトだけでなく、外部ファイルとの連携も視野に入れておきましょう。
Blade変数をJavaScriptファイルに渡すには?
ここまで、LaravelのBladeテンプレート内でJavaScriptに変数を埋め込む方法をいくつかご紹介してまいりました。
しかし実務では、JavaScriptのロジックを外部ファイルに分離して管理しているケースも多いかと存じます。
では、Bladeで定義された値を、外部JavaScriptファイルから参照するにはどうすればよいか。
ここでは、その具体的な方法をご紹介いたします。
グローバル変数を使って渡す
Bladeテンプレート内の<script>
タグを用いて、Laravelの変数をwindow
オブジェクト配下に定義することで、外部JavaScriptファイルからもアクセス可能な形にできます。
Bladeテンプレート内の記述例
<script>
window.appData = {
userId: @json($user->id),
userName: @json($user->name)
};
</script>
このように、window.appData
というグローバル変数を定義し、その中に必要なデータをまとめて格納します。
外部JavaScriptファイルでの使用例
console.log(window.appData.userId); // 例:42
console.log(window.appData.userName); // 例:"Taro"
この形式であれば、JavaScriptのロジックとLaravel側のテンプレートを分離しつつ、柔軟に値を活用することができます。
注意点
- スクリプトの読み込み順に注意
外部JavaScriptファイルがwindow.appData
より先に読み込まれると、値がまだ定義されていない状態となります。
必ず、<script>
タグによるグローバル変数の定義を外部スクリプトの読み込みより前に配置してください。 - 名前の衝突を避けるため、名前空間を意識すること
window.data
やwindow.user
などの汎用的な名前は避け、appData
のような用途を明確にした名称を使うのが望ましいです。 - JavaScriptファイルのキャッシュに注意
値が変化する性質のものであれば、キャッシュ対策としてファイル名にバージョン番号やクエリストリングを含める工夫も有効です。
このように、LaravelからJavaScriptファイルへの変数の受け渡しも、正しい手順で行えば非常にシンプルです。
Bladeテンプレートの中に変数を閉じ込めてしまうのではなく、グローバルに公開する形を取ることで、より自由度の高い開発が可能となります。
次の章では、Blade変数をJavaScriptで扱う際によくある注意点について触れてまいります。
安全性と保守性を意識した開発のために、ぜひご確認いただきたい内容です。
よくある注意点
LaravelのBlade変数をJavaScriptで扱う際には、いくつかの注意すべき点がございます。
ちょっとした油断が、思わぬバグやセキュリティリスクにつながることもございますので、この章でしっかりと確認しておきましょう。
HTMLエスケープに注意する
Bladeの出力構文である {{ }}
は、デフォルトでHTMLエスケープが適用されます。
たとえば次のような場合──
<script>
const name = '{{ $user->name }}';
</script>
$user->name
にシングルクォート ('
) やダブルクォート ("
) が含まれていた場合、
エスケープされた文字列がJavaScript上で正しく扱えず、構文エラーとなることがあります。
対策
@json()
を用いて、JavaScript用に正しくエンコードするのが安全です。
<script>
const name = @json($user->name);
</script>
配列・オブジェクトを文字列で渡していないか?
Laravelの変数が配列や連想配列(オブジェクト)の場合、{{ }}
で出力すると文字列として扱われてしまうため、JavaScriptで扱うことが困難になります。
悪い例
<script>
const settings = '{{ $settings }}'; // JavaScript上ではただの文字列に
</script>
良い例
<script>
const settings = @json($settings); // JavaScriptオブジェクトとして扱える
</script>
外部ファイルとの連携時は読み込み順に注意
Laravelの変数を window
オブジェクトに設定する場合、その値を参照するJavaScriptファイルが必ず後に読み込まれるようにしてください。
<!-- 先に値を定義 -->
<script>
window.appData = @json($someData);
</script>
<!-- その後にJavaScriptファイルを読み込む -->
<script src="{{ asset('js/app.js') }}"></script>
読み込み順を間違えると、undefined
エラーが発生してしまいます。
Laravel学習でお世話になった教材たち
Laravelを学ぶにあたって、私自身が特に参考にしたオンライン講座や書籍をご紹介します。どれも初学者にもやさしく、理解を深めるのに役立ったものばかりです。
オンライン講座
ちゃんと学ぶ、PHP+MySQL(MariaDB)入門講座
Laravelの基本から実践的なアプリ開発までを丁寧に解説。初心者がつまずきやすいポイントもカバーしてくれていて、何度も見返しました。
書籍編
PHPフレームワークLaravel入門 第2版
Laravelの思想から実装パターンまで丁寧に解説されており、「なんとなく使っていた」部分が腑に落ちた一冊です。
PHPフレームワーク Laravel実践開発
実際の現場に即したテクニックや設計の考え方が学べます。「次のステップに進みたい」と感じたときにぴったりでした。
まとめ
本記事では、LaravelのBladeで定義された変数をJavaScript側からどのように扱うかというテーマに沿って、
代表的な方法をいくつかご紹介してまいりました。
それぞれの手法には特徴があり、用途に応じて使い分けることで、開発をより柔軟かつ安全に進めることができます。
LaravelとJavaScriptは、それぞれが得意とする領域を持ちつつも、
適切に連携させることで、より洗練されたユーザー体験を提供できるようになります。
今回ご紹介した内容をベースに、より高度なフロントエンドとの連携にも、ぜひ挑戦してみてください。
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