「また昇給3,000円か…」
通知メールを見た瞬間、ため息が出たことはありませんか?
周りのメンバーを見れば、自分の方が確実にタスクを回せるようになってきたし、後輩にもそれなのに、この評価?この年収?
「自分がまだまだなんだろうか…」
そう思いながらも、どこか腑に落ちない。
ーー実はこれ、”あなたが悪いわけじゃない”かもしれません。
SESという働き方には、どれだけ頑張っても年収が上がりにくい仕組みが存在しています。
これは、多くのエンジニアが知らないまま我慢してしまっている「業界の構造」の話です。
この記事では、SES業界の裏側にある”年収が上がらない理由”をわかりやすくお伝えします。そして、今後の選択肢についてもお話しします。
ちなみに、私もかつてSESで悩んでいた一人です。
そのとき役に立ったのが、転職サイトの比較でした。
本気で環境を変えたい人向けに、いろんなサービスを比較した記事も書いたので、もし気になる方はそちらもご覧ください。
SESとはどんな働き方?簡単におさらい

まず前提として、この記事でいう「SES」は、客先常駐型のエンジニアを指しています。
SESとは「システムエンジニアリングサービス」の略。
ざっくり言えば、エンジニアを他社の現場に派遣して、その労働力を”準委任契約”として提供するサービスです。
わかりやすく例えるなら、「人材派遣と業務委託のあいのこ」みたいなもの。
クライアントのオフィスで開発に参加しつつ、雇用元は自分の会社。
つまり、自分の給料を出している会社と、実際に働いている環境が違うという状態です。
これって、慣れるまで結構ややこしいし、慣れた後もモヤモヤが残ります。
たとえば・・・
…なんてことが当たり前のように起こるんですね。
もちろん、SESが完全に悪いわけではありません。
いろんな現場で経験を積めたり、未経験からIT業界に入るステップとしては、とても有用な仕組みでもあります。
でも、中長期的にキャリアアップや収入アップを目指すなら、「このままでいいのか?」と考えるタイミングは必ず来ます。
次の章では、なぜSESでは年収が上がりにくいのか、その”仕組みの正体”を深堀していきましょう。
年収が上がらない理由は「仕組み」にあった

SESで働いていると、こんな疑問を感じたことはないでしょうか?
「技術力もついてきたし、現場評価も悪くない。
なのに、どうして年収はほとんど変わらないんだろう?」
それ、あなたのせいじゃありません。
理由はとてもシンプルで、SES業界の構造がそうなっているからなんです。
多重下請け構造と”中抜き”の現実
SES業界は、多くの場合「多重下請け構造」になっています。
どういうことかというと…
元請(大手SIer)
↓
一次請(営業力のあるSES会社)
↓
二次請(現場にエンジニアを出すSES会社)
↓
エンジニア(あなた)
たとえば、クライアントがエンジニアに支払う単価が月80万円だったとしましょう。
そこからマージン(中間手数料)が何層も抜かれていくので、最終的にあなたの月給が25万~30万円台というのも珍しくありません。
あなたの実力や努力に関係なく、仕組みの中で「引かれる」のが当たり前なんです。
単価が上がっても、給料は上がらない?
さらに厄介なのが、「単価が上がっても給料が増えない」こと。
現場での貢献度が高まれば、営業担当が単価を5万、10万と上げてくれることもあります。
でも、そのぶんがまるごとあなたの給料に反映されるわけではありません。
むしろ、「会社の利益が増えるだけ」なんでケースも普通にあります。
評価制度があいまいすぎる問題
現場で「〇〇さん助かってますよ!」と褒められても、
それが給料に反映されるかどうかは社内の評価制度次第です。
しかし、多くのSES企業ではこの評価制度がとても曖昧。
なぜなら、会社側があなたの”現場での仕事ぶり”を実際に見ていないからです。
頑張っているのに誰にも見てもらえない。
その上、昇給の基準も不透明…。
そりゃ、モチベーションも下がりますよね。
キャリアが「会社都合」で決まりがち
さらに、SESの現場アサインは会社の営業都合で決まることが多いです。
自分の希望や成長に合った案件を選べるわけではなく、「空いてるからこの現場行って」で決まってしまうことも。
その結果、エンジニアとして伸ばしたいスキルや方向性が積みあがらず、キャリアに悩む人が増えていくのです。
──これが、「SESでは年収が上がりにくい」と言われる理由です。
でも、逆に言えば、「仕組みを理解した上で、どう動くか」を考えることで、抜け出す手段も見えてきます。
次の章では、「それでもSESで頑張りたい人」が取るべき戦略について考えていきましょう。
それでもSESで生きていくなら

ここまで読んで、「やっぱりSESって厳しいんだな…」と感じたかもしれません。
でも実は、SESでも年収を上げたり、キャリアを積んだりしている人はちゃんと存在します。
つまり、構造を理解した上で「どう動くか」を意識することが大切なんです。
ここでは、SESという働き方の中でもできる”戦い方”をお伝えします。
「単価を上げる」ではなく、「商流を上げる」ことを意識する
SESでは、エンジニア自身が直接「単価交渉」をすることは難しいのが現実です。
でも、所属する会社がどの”商流”に位置しているかで、もらえる給与は大きく変わります。
たとえば同じ仕事でも、
とでは、報酬に2倍以上の差が出ることもあります。
だから、SESで年収を上げたいなら、
「スキルを高めて、上流案件に入りやすい人材になる」
という視点がとても大切なんです。
営業に「使いたくなる存在」として覚えてもらう
ちょっと現実的な話ですが、営業担当に「この人なら単価高くても売れる」と思ってもらえると、
より良い案件を回してもらえる可能性がグッと上がります。
そのためにできることは、
一見地味なことですが、評価制度が曖昧なSES業界では、こうした“見える努力”が武器になるんです。
副業・発信で「自分の市場価値」を見える化する
SESの限界を感じている人の中には、
「自分がいくらの価値を持ってるか分からない」
という不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
そんな時は、副業や技術ブログ・X(旧Twitter)での発信などを通じて、「自分のスキルを外に見える形で提示する」ことも有効です。
これらはすべて、「自分の価値を社外に示す手段」になります。
そして、いざ転職やフリーランスを考えたときに、大きな武器になります。
SESで年収を上げるのは簡単ではありません。
でも、正しい方向で努力すれば、「ここでも戦える」ということを、どうか忘れないでください。
とはいえ、それでも限界を感じるなら——
「環境を変える」という選択肢についても、次でお話ししていきます。
それでも限界を感じたら…選択肢はたくさんある

頑張ってみたけど、やっぱりしんどい。
努力しても給料が上がらないし、やりたい仕事にもなかなか出会えない。
そんなふうに感じるのは、あなたの甘えではなく「相性の問題」かもしれません。
SESという仕組みは、向いている人には向いています。
でも、成長や評価を「仕組み」で止められたくない人には、もっと合う場所があるんです。
「社内開発」や「自社サービス企業」は何が違う?
SESとの大きな違いは、自分が関わるプロダクトに長期的に責任を持てるかどうかです。
たとえば…
これらの環境では、
などのメリットがあります。
スキルと年収が比例しやすいのも魅力ですね。
フリーランスという選択も意外と現実的
「いやいや、フリーランスなんて特別な人だけでしょ」
と思っている方、実はそんなこともありません。
いまはエージェントを通じてフリーランス案件も安定して獲得できる時代ですし、
週3〜4日稼働、月単価80万〜100万円クラスの案件も珍しくありません。
もちろんリスクや自己管理の難しさはありますが、
「年収を上げたい」「自由度を上げたい」という方には、有力な選択肢になります。
自分の市場価値を知る第一歩に、「転職サービス」を使ってみる
環境を変えたいと思っても、いきなり会社を辞める必要はありません。
まずは今の自分にどんな選択肢があるのかを知るだけでも、大きな一歩です。
実際、私もSESから転職するときにいちばん悩んだのが、
「どの転職サービスを使えばいいかわからない」ということでした。
そこで、自分でいくつも試して、信頼できるサービスを比較・整理した記事を作りましたので、ぜひご覧ください。
「今すぐ辞めたい」じゃなくていいんです。
でも、“いざという時のための準備”をしておくだけで、心がずいぶん軽くなりますよ。
まとめ:自分を責めなくていい。まずは構造を知ることから
「頑張っても年収が上がらない」
「評価されてる気がしない」
「スキルが上がってる実感はあるけど、将来が見えない」
もしあなたがそんな風に感じているなら——
それはあなたの努力が足りないわけではありません。
業界の仕組みが、あなたの成長を“止めてしまっている”可能性があるんです。
今回お伝えしてきたように、SESという働き方にはメリットもありますが、
年収アップやキャリア形成の面では、構造的なハードルも多く存在します。
でも逆に言えば、「その構造を知ったうえで、どう動くか」が見えていれば、
未来は変えられるということでもあります。
自分を責める前に、まずは仕組みを知る。
そして、「他にどんな働き方があるのか」を知る。
それが、より良いキャリアへの第一歩です。
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